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2. 概念操作の外在化

では、どのようなワードプロセッシングがありうるのであろうか?その1つの方向性として筆者が考えるのは、「ことばによる概念操作の外在化」である。

概念操作の外在化とは、人々が頭の中で行っていると推測される概念操作を、コンピューターディスプレイ上に取り出して表現することである。

これらは、推論や判断というほどのものでなく、「引用する」とか「つき合わせる」といったより基本的と思われる操作である。そこで、「思考」ではなく「概念操作」ということばを使うことにした。

概念操作を外在化したソフトウェアは、本質的に次の特長を持つと考える:

発想支援
ユーザーの思考過程に介入して、新たな発想を促したり、誤りに気づくチャンスを与えることができる。
ディスカッション支援
複雑で繊細な判断を巡るディスカッションで、論点などを参加者が共有しやすくなる。

2.1. 発想支援

概念操作を外在化すると、概念操作の過程にコンピューターソフトウェアが介入することができて、ユーザーが誤りに気づいたり、新たな発想を得たりするチャンスを与えることが可能となる。

これを、かな漢字変換ソフトを例にとって説明する。かな漢字変換ソフトが、漢字入力ソフトではなくて、読みから漢字を含む表記を選択するソフトウェアであることを思い起こして欲しい。人々に、読みから対応する表記得るという概念操作が定着することで、ソフトウェアはその過程に介入することができるようになった。これによって、入力された読みにまでさかのぼって誤りを指摘したり、用語を統制したり、表現の意味を確認したりすることなどが可能となっている。これが漢字入力として発展してきたとしたら、このようなことは困難であったに違いない。

2.2. 一方通行のプレゼンから双方向のディスカッションへ

概念の操作が外在化されているということは、とりもなおさず、概念操作の過程を別の人が吟味できるということである。これは、打ち合わせの場などでのプレゼンにふさわしい。

逆に、従来のプレゼンソフトは、この点については一方通行である。あたかも、議論を封じることを旨としているかのようだ。

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