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これらをワードプロセッサー(word processor)と呼ぶのは、そろそろ止めにしてはどうだろう?さしあたり、ワードフォーマッター(word formatter)と呼ぶのがふさわしいのではないか。
ワープロソフトと比べることで、"CrossConcept"や"Deep Reference Lite"の特徴を、もう少し落ち着いて考えてみます。
処理の分類
主に何を対象としてソフトウェアが処理を支援するかの観点から、ことばを処理するソフトウェアの処理を、次のように分類してみます:
- 文字、文字列の操作
- ことばを構成しているかどうかに関係なく、文字や文字列を操作する。
- 単語・用語の操作
- 正しい漢字への変換、単語・用語の選択、校正。
- 気持ち・考えの表現の操作
- 気持ちや考えを表現する文章の構成を練る。
- 文例、定型文書の利用・作成
- あいさつ文例や戦略企画文書の構成テンプレートなどのひな形を選び、それに従って文書を作る。そのようなひな形を作る。
- レイアウトの操作
- 文字修飾からページ付けまで、レイアウトの操作全般。
「気持ち・考えの表現の操作」と「文例、文書構成例の採用・適用」は区別します。「気持ち・考えの表現の操作」は操作しやすくすることで、表現を考えることを促す。一方、「文例、文書構成例」は「考えない」、「黙って従う」方向へ利用者を導くものではないか、と思うからです。
この処理の分類をワードプロセッサーの機能に適用してみます。
ワープロソフトの特長
Wikipediaの「ワードプロセッサ」の項目にある「ワードプロセッサの特長」に、ワープロソフト「一太郎」の機能を少し加味して、前述の分類を適用してみます。
文字 文字列 |
単語 用語 |
気持ち 考え |
文例 定型文書 |
レイアウト | |
カナ漢字変換 | ○ | ||||
文字、段落の挿入、削除、複写、移動 | ○ | ||||
活字書体で出力 | ○ | ||||
正確な仮名遣いや漢字 | ○ | ||||
単語を変換辞書に登録 | ○ | ||||
外字登録 | ○ | ||||
はがきの宛名書きなどの半自動化 | ○ | ||||
表、グラフ作成 | ○ | ||||
検索、置換 | ○ | ||||
目次自動作成、アウトライン編集 | ○ | ||||
文字修飾・強調 | ○ | ○ | |||
スペルチェック、自動校正 | ○ | ||||
文例・文書構成例の利用・作成 | ○ |
縦軸は"ワードプロセッサ - Wikipedia"、および一太郎の機能より
これを見ると、気持ち・考えの表現の操作に該当する特長・機能が少ないと思うのです。この欲求不満がつのると、冒頭の発言となるわけです。
ところで…
分類を練る過程
さて、この記事自身を振り返ってみると、「気持ち・考えの表現の操作」と「文例、文書構成例の採用・適用」の区別にたどりついたことがポイントかと。
最初は、次の4項目に分類していました。
- 文字、文字列の操作
- 単語・用語の操作
- 考えの操作
- レイアウトの操作
これを検証するためにワープロソフトの簡単な機能一覧が欲しくて、Wikipediaにあたりました。
この4項目でいくと、アウトライン編集と文例利用が同じく「考えの操作」に分類されます。このことに違和感がありました。そして、「気持ち・考えの表現の操作」と「文例、文書構成例の採用・適用」を区別すると自分の考えとしてしっくりくる、と気がつきました。この気づきは、Wikipediaの記事を参照することで触発されました。自分の考えの中だけで試行錯誤するよりも、効果的にこのことに気がつけたのではないでしょうか。そして、このような過程を支援する機能が、従来のワープロソフトには足らないのではないかという元々の着想を、より具体化することができました。
気持ちや考えの表現をデザインすること
「気がついた」と言えば自然発生的なニュアンスがありますが、いえいえ、以上の過程はとても恣意的です。これについては、またいつか。
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