CrossConceptの公開ブレスト、2007-06-12
先月12日に、CrossConceptの公開ブレストを実施させてもらいました。2時間、とても刺激的な議論をさせてもらいました。参加されたみなさん、ありがとうございました。
それをここで再現するのは難しい…(^_^;) コメントを部分的に引用したところで、どこまで伝わるか不安ですが、それでも、印象的な話題とコメントをシェアしておきます。
軸自体を考えること
製品比較表のデモにみられるように、普通はグリッド切って星取り表を作るときは、項目ありきでスタートして、中身をどうするかだけを考えがち。CrossConceptのいいところ、新規性は、軸の項目自体を考える。この作業が知的、発見的作業である。
例えば、わざと分類しない、区別しない、項目を分けないということをする人もいる。
スタッフ部門の仕事では、軸を決めちゃうと、だいたい結論が決まることがある。軸が見えると、満足しちゃうくらい。実際の中身を入れる前に。そういう感覚。
既に機能過剰かもしれない
最初は、もっとスッキリしたUIだった。今は、ドラッグ&ドロップでも、ドラッグするためにまず文字列を選択して、それからドラッグする手順になる。これは、リストの編集をできるようにしたことなどの代償。スッキリさせるためには、「発見モード」のツールとリスト編集を伴う「調整モード」のツールで、コンポーネントを分けた方がいいのかも。
そもそも、リスト操作を、というか、複数のitemizeされたもののクロスチェック操作を、これを「発見」とか「調整」とか言ってしまうだけでも使い方を限定してしまう。そういうことすらも言わなくていいような気がする。
でも、CrossConceptとは何なのか、端的に説明しようとすると、ある程度、機能というかアプリ的なものが乗っていた方がよい気がする。
気持ちは分からなくはないが。このCrossConceptの本質は何かというと、要するに、関係ない2つのリストを並べて、自由に操作できるということだけ。ところが、最初は優れたテキストエディタだったのに、どんどんいろんなものをくっつけていったあげく、使い方のよく分からないソフトになっているという、そういう歩みを、短期間の間に成し遂げてしまっている。
これを実際に使って、クリエイティブな操作、ある種の概念操作 -- CrossConceptは概念操作を外在化する -- そういうのをやるときに邪魔な機能がついてしまったのでは?
かえって、制約がある方が使いやすいってことがある。なんでもありっていうと、なんのために使ってるのか分からなくなってしまって。制約がある方が、そのなかで考えようとするから。
2面あって、
- なんでもできるよって、自由に使えるものとしてポンっと放り出しておくことと、
- 一方で、それをベースにしていろんなことができる、マーケティング、競合製品との戦略的比較ということに使えると示すこと、
という2面。汎用性を活かしつつ、いろんな機能を付けていこうというのは、なにか、矛盾してるんじゃないか。
情報発信の形としてのリスト
情報発信の仕方としてのリスト、を提案しているという側面も。
分類観点のデータベース。
とりあえずやってみること
何を組み合わせるかで、組み合わせて出てくるものの意味合いがずいぶん違ってくる。無作為になんとか十訓みたいなものを2つ持ってきても、あんまり意味がないかもしれない。意味のあるものを2つ組み合わせると、CrossConceptとして面白い。
いや、広告代理店の鬼の十訓と時間管理の十訓を組み合わせちゃえばいいんですよ。
それで、時間管理十訓は、広告代理店鬼の十訓の最初の項目の実施要項として読むことができる。広告代理店の言い方は抽象的な言い方をしている。時間管理の方は具体的。そういうことはやってみて分かるわけで、「そんな仕事の仕方十訓みたいの組み合わせて意味があるの?」なんて言わずに、まずやってみよう、と。簡単なんだから。
初めて見たときに面白いと思ったのは、ねじれていようが、下手すると平行線であろうが、乱暴に掛け合わせられるところ。
数値処理の世界では、軸をとっかえひっかえしながら「集計」することは、従来から行われていた。CrossConceptの操作性は、これになんとなく似ている。でも、数値処理の世界では、無意味な組み合わせは無意味。数値の属性としてあらかじめ用意された属性同士を、軸として組み合わせることができるのみ。しかし、ことばの世界は、何を持ってきても、何か意味が見えてくる。ここが決定的な違い。Microsoft Excelのピボット機能を思い出してみてください。
試行錯誤 - 天啓はかなり苦しい思いをしないと訪れない
例えば、新しい企画がある。自分は、それがいい企画だと発見する能力は持ってる。しかし、自分でそれをつかむことが難しい。それをこれが助けてくれるならありがたい。しかし、そういうのを助けてくれる要素には、夢の中のお告げ的なものがある。要するに、夢の中のお告げを、これがやってくれればいいわけだ。そのためには、かなりつらい作業を、山口さんは要求してるんじゃないか。天啓はかなり苦しい思いをしないと訪れない。
これは、試行錯誤のツールとしていいんじゃないかと思う。というか、試行錯誤のツールなんだよね。
ただ、そういうのが、ピンと来る人と来ない人がいる、という気がします。
「囚人のジレンマ」から分析表
普通の文、ステートメントして書かれた条件というものを操作していって、ゲーム理論的な分析表を作るのがすごくやりやすい。
ただし、普通の文章をリストにするということは、操作としては、こうして1項目からなるリストから始めて、項目を分割していきなさい、ということになる。重複は許されない。意味的よりも記述上の重複。これにはスキルが必要。現実的には、それはできないものってある。それは根本的にできないのかもしれないし、スキルが足りないだけかもしれない。でも、そうだとしても、こういう記述から、観念を切り出したいってことはある。観点を見いだしていく作業を支援してあげたらいいのかな、と。で、それは別のソフトでやろうとしている。
ツールのアウトプット
CrossConceptでは、発想を得たときに、その発想をもとにリストの項目を増やしたり削ったりして、アウトプットが改善されたリストという形として残る。
「気づく」という話を狭くとるなら、アウトプットは頭の中にあるだけだけど、それを何かの形として残せるようにしてあって、それは重要なことだと思っている。
このツールを使って、何かが分かるというだけで済む人と、済まない人がいるだろう。道具としては、アウトプットを出せるようにした方がいいのではないかと思っている。眺めて分かった気になるだけのツールって、何か違う気がする。
誰が使うか
何か創造的なことをやろうとすれば、結局、頭をかき回さなきゃダメなんだと。それに耐えられる人は、ごく一部の人しかいないだろうという気はするけど。自分でかき回すのは非常に難しいので、こういうものを利用してやる。すると、それなりのことがありそうな気はする。
分析ツールとして、研究室とかそういうところでは喜ばれるかもしれない。
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